やさしい眩暈
エレベーターのドアが開いて、私は一歩踏み出す。
そのとき。
「―――レイラ」
私は目を見開いて足を止める。
声が聞こえてきた方向に顔を向けた。
リヒトがこちらへ向かって歩いてきていた。
襟の広い白のTシャツに、濃青のカーディガンを羽織っている。
ほっそりとした薄い身体にひどく似合っていて、私は目を細めた。
「………リヒト」
呟いた声は掠れている。
リヒトは手にワインレッドのマフラーを持っていた。
「これ、つけてけよ。寒いだろ?」
「え………いいの?」
「お前、昔からすぐ風邪ひくじゃん。明日もバイトあるんだろ?」
「うん………ありがと」
うつむいて言うと、リヒトはふっと笑みをもらして、私の首にマフラーをぐるぐると巻いた。
「………あったかい」
ほうっと息が洩れる。
本当に、ぞくりとするほど温かかった。
そのとき。
「―――レイラ」
私は目を見開いて足を止める。
声が聞こえてきた方向に顔を向けた。
リヒトがこちらへ向かって歩いてきていた。
襟の広い白のTシャツに、濃青のカーディガンを羽織っている。
ほっそりとした薄い身体にひどく似合っていて、私は目を細めた。
「………リヒト」
呟いた声は掠れている。
リヒトは手にワインレッドのマフラーを持っていた。
「これ、つけてけよ。寒いだろ?」
「え………いいの?」
「お前、昔からすぐ風邪ひくじゃん。明日もバイトあるんだろ?」
「うん………ありがと」
うつむいて言うと、リヒトはふっと笑みをもらして、私の首にマフラーをぐるぐると巻いた。
「………あったかい」
ほうっと息が洩れる。
本当に、ぞくりとするほど温かかった。