やさしい眩暈
「あ、いま一瞬、びくってなりましたね」



ルイが少し身を離して、にっと笑った瞳で覗きこんでくる。


私は「からかわないで」と軽くにらんだ。



ルイは微笑みを浮かべたまま、「かわいい」と私の頭に手をのせる。


不覚にも、また肩を震わせてしまった。



ルイがくくくっと笑う。



「ああ、もう………ほんと、どうしてそんなにかわいいんですか」


「………ばか」



それ以上なにも言えずに見つめかえしていると、また、ふわりと抱きしめられる。



「―――レイラさん、俺のこと好きになってください。もっと、もっと。

他のひとが見えなくなるくらいに………俺から離れたくなくなるくらいに」



うん、と答えようかと迷ったけれど、やっぱり少しは仕返ししてやろう、と思い直す。



「それはどうなるか分からないなあ」



素っ気ない声で言うと、ルイが「えっ」と顔をあげて、大きく見開いた目で覗きこんできた。



私は、「うそ、ごめん、冗談」と笑った。



「………ひどい」



ルイは恨めしげに言って、唇を少し尖らせる。



「傷ついた」



その表情がかわいくて、「ごめんって」と私はさらに笑う。



「反省してますか?」


「してる、してる」



すると、ルイはにっと笑い返してくる。



「じゃあ、罰として―――」



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