やさしい眩暈
―――泣きたくなった。


私には、ルイみたいないい子から、そんな優しい言葉をかけてもらうような資格はない。



「レイラさん」



柔らかい声が私を呼ぶ。


せめてもの誠意を見せなくてはと、私はまっすぐに見つめ返した。



「ふたつだけ、聞いてもいいですか」


「………うん」


「レイラさんは、彼氏さんのこと、好きですか」



一瞬目を見張ってから、私はこくりと頷いた。



「うん………好き。他には何もいらないくらい、好き」



ルイが泣きそうな顔で微笑む。



「………分かりました。じゃあ、あとひとつだけ」



私はもう一度うなずいた。



「―――レイラさんは、今、幸せですか」




―――答えられなかった。


考えたこともなかったから。



ルイはしばらくじっと私を見つめていたけれど、私が何も答えないでいると、細く震える白い息を吐き出した。



それから、さっきよりももっと泣きそうな顔で笑った。




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