やさしい眩暈







「レイラちゃん」



Dizzinessのライブが終わって、トリのバンドが始まるまでの合間。


喉の渇きを覚えた私がドリンク待ちの列に並んでいると、突然うしろから声をかけられた。

振り向くと、演奏を終えたハマさんが立っている。



「ハマさん、お疲れ様です」


「来てくれてありがとね」


「いえ。すごくかっこよかったです」



ハマさんは「ありがとう」と微笑んだ。



「ところでさ、レイラちゃん、ライブ終わったらどうすんの?」


「え……家に帰りますけど」


「じゃ、とくに予定とかないんだね」


「あ、はい」



頷くと、ハマさんがにっと笑った。



「ライブの後、近くの飯屋で打ち上げやるんだけど、レイラちゃんも、どう?」



突然の誘いに私は目を丸くする。



「え………いいんですか、私なんか誘って」



するとハマさんが「当たり前だろ」と噴き出した。



「リヒトの彼女なんだから。っていうか、俺らの名付け親だし。レイラちゃんはDizzinessにとって特別だろ」



私は「そんなことありません」と首を振ったけれど、

ハマさんに「遠慮しなくていいって、俺らの仲だろ?」と言われて、頷くしかなかった。





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