やさしい眩暈
*
「レイラちゃん」
Dizzinessのライブが終わって、トリのバンドが始まるまでの合間。
喉の渇きを覚えた私がドリンク待ちの列に並んでいると、突然うしろから声をかけられた。
振り向くと、演奏を終えたハマさんが立っている。
「ハマさん、お疲れ様です」
「来てくれてありがとね」
「いえ。すごくかっこよかったです」
ハマさんは「ありがとう」と微笑んだ。
「ところでさ、レイラちゃん、ライブ終わったらどうすんの?」
「え……家に帰りますけど」
「じゃ、とくに予定とかないんだね」
「あ、はい」
頷くと、ハマさんがにっと笑った。
「ライブの後、近くの飯屋で打ち上げやるんだけど、レイラちゃんも、どう?」
突然の誘いに私は目を丸くする。
「え………いいんですか、私なんか誘って」
するとハマさんが「当たり前だろ」と噴き出した。
「リヒトの彼女なんだから。っていうか、俺らの名付け親だし。レイラちゃんはDizzinessにとって特別だろ」
私は「そんなことありません」と首を振ったけれど、
ハマさんに「遠慮しなくていいって、俺らの仲だろ?」と言われて、頷くしかなかった。