やさしい眩暈
打ち上げの店は、すぐ近くのイタリアン居酒屋だった。
予約してあったようで、二階に通される。
《Reserved》の札が置かれたテーブル4つ、すでにセッティングしてあった。
「適当に座って」
ハマさんが言うと、Dizzinessのメンバーとスタッフさんたち、呼ばれてついてきたらしいファンの女の子たちがそれぞれ椅子に座る。
私は手前のテーブルに座って、バイト先についてトーマと話していると、キイチくんが近づいてきた。
「トーマさん、いいのー? レイラさんと仲良く喋ったりして。リヒトさんに怒られても知らないぞ」
私は小さく笑って首を振る。
「リヒトがそんなことで怒るわけないじゃん」
「えー、彼女なのに?」
「…………」
私は向こうのテーブルに座るリヒトに目を向けた。
リヒトはいつの間にか、さっきの女の子たちを両側に侍らせて、真っ赤な口紅を塗った金髪のロングヘアの子の肩に腕を回している。
私はすっと視線を戻した。
キイチくんが気遣わしげに私を見ていたけど、私は「平気」と首を横に振った。
リヒトは普段はあまり人と話さないけれど、お酒が入ると少しだけ饒舌になる。
そして、すぐに女の子に手を出すのだ。
もちろん、私にとってはおもしろくはない。
でも、自分もリヒトと付き合い始めたきっかけは同じようなものなので、複雑だった。
予約してあったようで、二階に通される。
《Reserved》の札が置かれたテーブル4つ、すでにセッティングしてあった。
「適当に座って」
ハマさんが言うと、Dizzinessのメンバーとスタッフさんたち、呼ばれてついてきたらしいファンの女の子たちがそれぞれ椅子に座る。
私は手前のテーブルに座って、バイト先についてトーマと話していると、キイチくんが近づいてきた。
「トーマさん、いいのー? レイラさんと仲良く喋ったりして。リヒトさんに怒られても知らないぞ」
私は小さく笑って首を振る。
「リヒトがそんなことで怒るわけないじゃん」
「えー、彼女なのに?」
「…………」
私は向こうのテーブルに座るリヒトに目を向けた。
リヒトはいつの間にか、さっきの女の子たちを両側に侍らせて、真っ赤な口紅を塗った金髪のロングヘアの子の肩に腕を回している。
私はすっと視線を戻した。
キイチくんが気遣わしげに私を見ていたけど、私は「平気」と首を横に振った。
リヒトは普段はあまり人と話さないけれど、お酒が入ると少しだけ饒舌になる。
そして、すぐに女の子に手を出すのだ。
もちろん、私にとってはおもしろくはない。
でも、自分もリヒトと付き合い始めたきっかけは同じようなものなので、複雑だった。