やさしい眩暈
「まあ、それは確かにそうだな」



ハマさんまで、リヒトの傲慢な言葉に同意して、にやりと笑った。


リヒトに影響されているのか、それとも、人当たりがいいだけで実は自信家なのか。


そういえば、トーマもキイチくんも自信家だと思う。

Dizzinessのメンバーは皆どこか高慢なのかもしれない。


でも、その自信が滲み出ているからこそ、彼らは魅力的なのだと思う。


彼らが自分たちの生み出す音に自信をもっているからこそ、聴く者はさらに惹きつけられる。



「レイラ。何ぼうっとしてんだよ」



リヒトが私の顔を覗きこんできた。

私ははっと我に返る。



「ごめん。考え事してた」


「どんな? 言えよ」


「Dizzinessってすごいなって考えてた」


「ふん。何を今さら」



リヒトが満足気に笑って、片手で頬杖をついた。



「レイラちゃんは貴重な理解者だな。Dizzinessの名付け親だし、一番のファンだよ」



ハマさんが嬉しいことを言ってくれる。



「リヒト、レイラちゃんのこと大事にしろよな」



リヒトは何も答えず、薄い笑いを浮かべたままでジンをあおった。



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