RE
優しい色は今見えないけれど。
きっと、君を守るから。

「REとか、酷いとか、そういうのやめてよ!」
「へっ?だってアイツ千尋に酷いこと………。」
「れん君のこと、何も知らないじゃん、なのに人のこと言える!?」
「じゃあ、千尋は何かあの人のこと知ってるの?」
「え………?」
「所詮、1ヶ月でしょ?あの人のこと全部知ってるの?アタシ達はさ、噂を信じてる。それはそれしか情報が無いからじゃん。」
「ウチ等だって嫌な物はあるよ。千尋は無いの?それと同じでしょ?」

皆の視線が痛いほどにあたしを襲ってくる。教室が張りつめた空気になった。

「それは………。」
「証明してみなよ、そうじゃないと信じることだって信じられないし。」
「一時期の思ったことでそういうこと言わないでほしいな。皆おんなじなんだし。」

あたし、弱かった。強がっただけだったんだね。言い負けて、現実を知って。何を分かってたんだろう?何も、皆の言う通り何も知らないのに………。

「………………。」

あたしは黙って、うつ向いていた。もう、居ていられなくてあたしはお弁当の入った鞄を持って教室を出ていった。
何も分かってないのは、あたしだったんだね。

「………………。」

『ガサガサッ。』
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