RE
「屋上、行こ。」
「屋上??」
屋上には、もしかしたられん君が居るかもしれない。今は会いたくなかった。そして、亜衣ちゃんとも、会わせたくなかった。
「……屋上は、ちょっと。」
「何で?」
「こ、高所恐怖症なの。」
「え~、そうなんだ。残念、あそこ好きなのになぁ。また、治ったら行こうね~。」
「う、うん……。」
嘘を吐いた。
「じゃあ、ここの席で食べようか!」
「うん。」
皆がチラチラ見てくる。
どうした事か、何も言ってはこない。
れん君のいとこって、知ってるから?
それとも、あたしが……。
「千尋ちゃん?」
「えっ?」
「なんか、ボーっとしてたから。」
「あ、ゴメン。考え事してた。」
「ふーん、そっか。」
何だか、怖いような感覚。
そんな空気を、亜衣ちゃんからは感じた。
どうしてだろう、こんなに優しいのに。
どうしてだろう、胸騒ぎがした。