RE

「あ、遠藤君。」
「え…………?」

恐る恐る振り返ると、不機嫌そうな顔のれん君が立っていた。
眼を合わせられなくて、あたしは黙ってずっとお弁当のおかずを口に詰め込んでいた。

「…………。」
「千尋ちゃん?」
「ん?何?」
「何って遠藤君。」
「あ~、うん。」

話をそらしたいけど、そらせない自分。
何だか、はっきりしてないね。

「……千尋。」
「…………。」

黙って無視してしまう。
凄い、やな感じ。
目を合わせたくも、話したくもなかった。

「何で黙っちまうんだよ?」

ザワザワする教室。
キスした事を、隠してるの?
それともあたしなんか……。

「迷惑なのっ!!」
「は……?」
「付きまとったり、いきなり教室に来られたりするの、本当に困るの!もう、やめて。」

口から出る心にもない言葉。
どうして、こんな事になったの?
凄く、苦しくて、悲しいよ。

「何言ってんだよ、千尋……。」

肩にれん君の手が触れた。
その温かさに、また胸が締め付けられた。

“パシッ。”

「亜衣ちゃんごめん……。」
「え、ちょっと千尋ちゃん!?」
「ちょっと職員室に呼ばれてるから……!」

嘘ばかりが、重なっていく。
もう、終わっちゃうのかな?


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