RE

「…………。」

“プルルルルル。”

あたしのすすり泣く声が部屋に響く。
ずるいよ。こんなに好きだって知らなかった。
自分でも分からなかったよ。

“ガチャッ。”

「あ、亜衣ちゃん……?」
『もしかして、千尋ちゃん?番号教えてたっけ……。忘れてた。』
「ううん、家電だから連絡網。」
『あ、そっか。』

沈黙が流れた。
すごく気まずい状況。

「…………さっきはごめん。」
『授業で、先生には早退したって言っといたよ。あたしこそKYでごめんね?なんか遠藤君に聞いて、気まずい状況だって。』
「あぁ、そっか。よかった。」
『学校、来るよね?』
「…………。」
『黙らないでよぉ、千尋ちゃん。』
「…………行くよ?平気、あたし、それほど傷付いてないんだ。だってほら、さっきは気まずいからどうしてもね。」
『そっか、なら平気だね。千尋ちゃんが元気でよかった。また後でメールでもするからさ、返事忘れないでね。』
「うん。」

亜衣ちゃんは優しくて
れん君のいとこで。
羨ましいけど、悲しい。
いくら好きでも恋はできない。
この距離で、よかったのかな……。
それとも、違うのか。
まだ分からないよ。


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