RE
「お兄ちゃん、来るからね」
「………………」
"ブロロロロ………"
バイクの音が近づく。
私はギュッと目を瞑ると恐る恐る立ち上がった。
「お兄ちゃん、千尋ちゃんだよ?」
「ああ……」
低くて落ち着いた声。
私はゆっくりと目を開いていく。
「はじめまして。ワガママ言ってごめんね?俺、こいつの兄貴のタケル。千尋ちゃんの学校の一応卒業生なんだ」
眼鏡で黒髪、
少なくとも亮とは正反対の男の人が私に笑いかけた。
「……は、はじめまして」
「可愛い子だって思わなかった」
「へ?」
「千尋ちゃんは可愛くて良いね」
ニコッと笑うタケルさん。
綺麗な顔だった。
少しドキッとして罪悪感を覚える。
「そんなお世辞……」
「いやいや、本当だよ?」
優しく笑う彼はお兄ちゃんの象徴。
そんな優しいオーラを持っていた。
私は思わず顔を赤くする。
俯いて顔を隠すも
彼女はニコニコ笑っていた。
「ねえ、千尋ちゃん」
「え?」
「お兄ちゃんも。行こ!」
そう、
全ては繋がっていた。
それなのに
私は何をしていたんだろう。