RE
「もう大丈夫だよ?」
「そんな、でも」
「今日は先客もいるからね」
ニコッと笑って指を指すタケルさん。
大きい一軒家が建っていた。
お金持ち……?
「亮だよ亮」
耳を疑う。
電話も通じなかったのに
亮がいるの?
「……でも、電話が通じなくて」
「ああ、あいつ、携帯壊しちゃったみたい」
「嘘……」
私の心がホッとしたのが分かった。
じゃあ、いつものサボりだったんだ……。
そうだよね、毎日も疲れちゃうし……。
私は軽く笑った。
「良かった、初めて笑った」
「す、すいません……」
「お兄ちゃん、ちょっと私、行くね?」
「は?」
「お先に!」
亜紀は走って先に行ってしまう。
タケルさんは困った顔をした。
「……ごめん、あいつ勝手で」
「あ、平気です!」
「そう」
タケルさんは立ち止まった。
私をじっと見る。
亮にそっくりで、少し照れた。
「亮が羨ましいよ。そんな顔してくれる人なんて、なかなかいないもんね。しかも千尋ちゃん可愛いし……。良い子だよね」
「へ?」