闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
___ドンッ!
「いてっ!」
俯いて走っていたら、誰かとぶつかった。
泣いている顔を見られないよう、下をむいたまま軽く頭を下げる。
「ごめんなさ……」
「……あれ、お前…………」
降ってきた聞き覚えのある声にハッとして頭を上げる。
黒髪で、どことなくクールな雰囲気。
「……圭太、さん…………?」
間違いない。
あたしを『殺す』と言っていた、圭太って人だ。
圭太さんは驚いたようにあたしを見たあと、眉をひそめてつぶやいた。
「何で、泣いてんの……?」
「っ……!!」
髪で顔を隠し、圭太さんから逃げる。
「おい待て!!九條っ!!!」
引き止める声が聞こえなくなるまで、どんどん走った。