闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
▲約束▲《諒真side》
《諒真side》
「くそっ……どこに行ったんだ、あいつ!」
家を飛び出した奈緒を追って、俺は町中を走り回っていた。
奈緒の悲しそうな顔が頭から離れない。
俺を見つめる、潤んだデカイ目。
くっそ……あの女、殺せばよかった。
飲み会に行った後の帰り道、昔一度だけ抱いた女に会った。
もう一度だけとしつこく言い寄ってくるそいつの骨を折ることも考えたが、通報されるとまずい。
だから断ると、「家の場所が知りたい」と言ってついてきやがった。
家に入ろうとノブを回した時、女が俺の顔を自分の方に向けて唇を合わせた。
そして、タイミング悪く、奈緒が出てきた。
突然のことに反応できなかった俺は、奈緒の名前を呼ぶことしかできなかった。
涙を浮かべる奈緒の腕を掴もうとしたら叩かれ、彼女は走っていった。
俺が呼び止めるのも聞かず。