闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
走ること数十分。
ようやく、目的地についた。
でかい家。
ここに奈緒はいるはずだ。
『九條』と書かれた表札の隣のインターホンを押し、誰かが出るのを待つ。
『…………はい?』
女の声。
義母か。
「すみません、娘さんはいらっしゃいますか?」
一応礼儀正しくする。
追い返されたら元も子もねぇし。
『……いません。息子しかいないんで』
少しぶっきらぼうな声。
何か隠してる時の声だ。
カマかけてみるか。
「そうですか、すいません。外に茶髪の女の子が歩いているのが見えたので」
それだけを言い、物陰に隠れる。