闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
▲確かめ合う想い▲
物置から出ると、数日ぶりの太陽の光が眩しくて目を細めた。
「……奈緒」
あたしの手を握っている諒真さんが、小さな声であたしを呼ぶ。
「あいつら……殺らなくて、いいか?」
「あいつら…………?」
「義母とか親父とか兄貴とか」
あぁ、と、納得する。
すっかり忘れていた。
あたしは、そのために生きていたんだった。
諒真さんの背中を眺めながら、ぼんやり考える。
なんか……今考えると、バカみたい。
「いいよ。あいつらのために動くのが面倒くさいもん」
「何だそりゃ」
ハハッと笑う諒真さん。
あたしは、この手を一度振り払ってしまった。
『大嫌い』と、言ってしまった。
きっと、傷つけた。
「…………ごめん、諒真さん」
「ん?」
「嫌いだなんて言って、ごめんなさい……」