闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
「若木奈緒さーん、準備を」
「あ、はい」
係の人に連れられ、式場の入口にまわる。
あたしの実のお父さんはあの日を境に逃げたから、実のお母さんの弟……おじさんと腕を組む。
『新婦入場』
アナウンスが流れる。
「それでは、このまま真っ直ぐお歩きください」
「はい」
開いたドアをくぐり、レッドカーペットに足を踏み出す。
椅子に座ってあたしに拍手しているのは、親戚の人、【桜蘭】であたしを可愛がってくれていた春樹、そして【睡嵐】のみんな。
そして目線の先には…………
「奈緒」
愛しい銀髪の、彼。