闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
「ぐぁあっ!!!」
突然、男が二人空き教室に飛び込んできた。
……いや、飛んできた、といったほうがいいかもしれない。
銀髪の男が、二人同時に蹴り飛ばしたのだ。
「ほら、もう終わりなのか?まだまだできるだろ?」
続いて入ってきた銀髪男は、狂気の笑みを浮かべている。
「や、やめてくれ……!」
「何で?楽しいじゃん?……でも、ここで終わりにしよっか」
銀髪男がもうひと蹴りすると、二人の男は意識を失った。
あまりのことに腰が抜け、へなへなと座り込んでしまう。
「……ん?女?」
銀髪男の視線がこちらに向けられる。
歩み寄ってきた男は、あたしの腕を引っ張って立たせた。
「お前、【桜蘭】の姫……奈美?だっけか」
「奈緒よ!!」
思わず言うと、銀髪男はニヤリと笑った。
「お前が……奈緒か」
その冷たい笑みに、背筋がゾクリと凍る。
「来いよ」
無理やり腕を引っ張られ、歩かされる。
「ちょっと!!離しなさいよ、変態!!」
「黙れ。殺されてぇか」
ドスのきいた声。
まるで、ヤクザみたいだと思った。