闇桜〜銀色のキミに恋をした〜




屋上まで引っ張られていくと、開いたドアから外を見回して、銀髪男が声を張り上げる。



「おい、こっちも終わったぞ!」


「お疲れ、諒真」



こいつ、諒真っていうんだ。


別に興味無いけど。


諒真っていう人が、さっきまでとは別人のようにそこにいる奴らに笑いかける。



「おー。【龍嵐】のおかげで死なずに済んだぜ。」



何言ってんの。


ぜーんぶ自分がやってたくせに。


心の中で悪態をついていると、あたしの腕を握る手に力がこもる。



「で、さっきーに渡したいものがある」


さっきー?


誰?


と、疑問に思ったのもつかの間。



「おら、こっち来い!」



男に突き飛ばされ、ずしゃっと派手に転ぶ。


外の空気が冷たい。


痛ぁ……膝すりむいたし!!


銀髪男を睨みつけて怒鳴る。



「痛いじゃないこの馬鹿男!!」


「黙れクソ女」



冷ややかに睨んでくるそいつに、何も言えなくなってしまう。
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