闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
「諒真は普段はあんなんだけどな、喧嘩のときや怒ったときは人格が変わる」
王蘭でのあの喧嘩の様子を思い出す。
確かに、ただひたすら楽しそうに殴っていた。
こんなチャラチャラしてビクビクしてる男がやったとは到底考えられない。
「な、な、奈美!早く出てけ!!怖いから!」
若木諒真はあたしを指さしながら叫ぶ。
仕方ない、今日のところは退散するとしよう。
でも、その前に。
黒髪男の後ろに隠れる若木諒真に歩み寄り、ぐっと顔を近づけて微笑む。
「奈緒、です。次来た時に、腕、お願いしますね♪」
「ひぃぃっ!?」
若木諒真はあたふたと逃げ回る。
…………何この人、面白いんだけど。
「それでは、お邪魔しましたぁ~♪」
唖然とする皆さんに一声かけて、倉庫を出た。