闇桜〜銀色のキミに恋をした〜




服を着てホテルの外に出ると、梅雨の生ぬるい風がふきぬける。


夜中だというのに、通りにはまだオヤジがぞろぞろ歩いている。



……今日はもう一人くらい、誘ってみるか。



相手を探していそうなオヤジを見定め、つかつかと歩み寄った。



「きゃあっ!!」


「うわっっ!!?」



隣まで来たところでわざとよろけ、オヤジに抱きつくところから作戦開始。


ついでに、持っていた缶コーヒーをぶちまけてやった。



「いたたぁ……。きゃあ、ごめんなさぃ!
コーヒーが…………!ケガ、ないですかぁ?」



わざとらしく慌て、涙目でオヤジを見つめると、にやけながら「大丈夫」と言って去ろうとするオヤジ。


すかさず袖クイして、その動きを止める。



「あのぅ……シミになるといけないので、あそこに入って、洗わせていただいてもいいですかぁ?」



指差すのは……いかにもっていうラブホ。



どのオヤジも必ず即答で「うん」と言う。



このオヤジも、例外なく引っかかった。






ほんと、男ってチョロい。





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