闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
なんて考えていると、赤髪男はどこか嬉しそうに言う。
「まぁ、それもあと少しだ。諒真先輩をすぐに自由にしてやる」
「自由?」
何で、そんなこと言うんだろう?
まるで何かに因われているみたいじゃない。
「溺れた諒真先輩を助けるのが、俺の役目。強くなって、あの人を救うんだ」
グッと拳を握り締める赤髪。
いつもの毒舌な感じからは考えられないほど、本気だ。
でも、どういうこと?
『助ける』とか、『救う』とか。
何で、そんな必要があるの?
「……ねぇ、赤髪くん」
「歩」
不機嫌そうな顔つきになる歩。
子供みたい。
「若木諒真は……跡を、継ぎたくないの?」
「あぁ?当たり前だろ。つーか継がせねぇよ。あんな汚いところ、諒真先輩には似合わねぇ」
真っ直ぐな瞳で、歩は言う。
初めて知った。
あの人は、ヤクザになりたくないのか。
脅されて仕方なく、集会とやらに参加しているのか。
……力で押さえつけられているのか。
「じゃあ俺もう行くわ。殺されんなよ、胸くそ悪いから」
「……わかってる」
歩は余計な一言を残して倉庫の中に入っていった。