闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
つまんねぇ……。
今日の集会の鬱憤を晴らしてやろうと思ったのに。
でもしくったな。
顔見られちまった。
まぁ、俺に手出しは出来ねぇか……。
心配なのは…………
ちらりと背後を見る。
「ぅ……っく………」
恐怖からか、泣いている茶髪の美少女。
メイクをしているけれどすっぴんがいいのは初めて見た時から分かった。
そして、強がっているということも。
奈緒の過去を聞いたときは、何も言えなくなった。
壮絶すぎるだろ。
親に孕まされるとか何なんだよ。
そりゃあ、憎むわな。
恨むわな。
……でも、それでさっきーを貶めるのは違うと思う。
「ほら、行くぞ」
泣いている奈緒に言うと、大人しくついてくる。