闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
そのまま俺の家に帰る。
といっても、蓮央たちが住んでるマンションの管理人室ではない。
れっきとした、俺一人の家。
一戸建てのデカイ家だ。
奈緒を中に通し、ソファーに座らせる。
彼女の顔は青ざめている。
また捕まる事を考えてしまったのか。
しょうがない。
こういうときって、確か紅茶でも出せば落ち着くんだっけか。
と、キッチンへ立とうとすると。
「……ありがとう」
消え入るような声が、背後から聞こえてきた。
振り返ると、俯きがちに膝を抱えている奈緒がいる。
……初めて、礼を聞いたな。
「おぅ」
それだけ返して、キッチンに向かった。