闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
2つのティーカップに紅茶を入れ、部屋に戻る。
さっきと変わらない体勢のままで、奈緒は座っていた。
顔色が少し良くなっている。
ティーカップをテーブルの上に置き、俺もソファーに腰掛ける。
奈緒は少し躊躇ったあと、紅茶に口をつけた。
「……落ち着いたか?」
こくりと、奈緒は頷く。
涙でメイクがまた崩れている。
まぁ、それでも美少女だけど。
とりあえず、気になることを聞いてみる。
「なぁ、あのヤクザたちは……お前の母親の…………」
「あんなの、母親なんかじゃない!!」
叫んだ後にハッとし、また黙る奈緒。
そうだよな。
俺の言い方がまずかった。
「……悪い。お前を探してる女の手先か?」
「…………うん……」
微かに頷いた。