闇桜〜銀色のキミに恋をした〜
「あたしが、ここにいること、バレた……。きっと、すぐ捕まる……!!」
自分の両肩を抱きしめてまた震え出す奈緒。
こいつは、今までどんなに怯えて生きてきたんだろう。
作り物の笑顔を浮かべ、心の中ではいつも泣いて。
いつの間にか、心を閉ざしてしまった。
なぜだろう。
こんなにも、変えたいと、笑顔を見たいと、思う。
「嫌だ!嫌だ!!あそこはもう嫌!!」
半狂乱になって叫び、髪を振り乱す奈緒に、どうすればいいのか戸惑う。
他人の俺が口出しするべきことではない。
でも、このままではきっとこいつは壊れる。
……くそ。
「奈緒」
「え……」
奈緒の細い腰を引き寄せ、抱きしめた。