幸せの定義──君と僕の宝物──
中央病院に着いて産婦人科で診察を受けた後、レナはすぐに病室に案内された。

仕事柄、夫婦共に世間で顔が知られている事から、レナは3階にある個室を使う事になった。

人見知りのレナは知らない人と同じ部屋になる心配をせずに済んだとホッとした反面、話し相手もいない個室で何週間も過ごすのかと、少し寂しい気もした。


ユウは入院手続きの書類と、病院案内や入院に必要な物を書いたパンフレットをもらって、レナの入院準備をするために1度帰宅した。

ボストンバッグにレナの衣類や洗面道具などを詰め込みながら、事務所に電話を掛けると、珍しく社長が応対した。

今日はテレビの歌番組に出演するため、お昼過ぎにマネージャーが自宅まで迎えに来る事になっていたが、レナが入院する事になったので直接テレビ局に向かうと言うと、社長は驚いた様子で、心配そうにしていた。

事務所との電話を切った後、ユウはレナの母親のリサと、自分の母親の直子にも電話を掛けてレナの状態と入院を知らせた。


(入院か…大変な事になったな…。)

ユウは入院手続きの書類に記入を済ませ、荷物を手に再び車で中央病院へ向かった。



< 12 / 241 >

この作品をシェア

pagetop