幸せの定義──君と僕の宝物──
夜遅くに実家に帰ったリュウは、翌朝ゆっくりと目覚めた。

枕元の時計を見ると、もう10時を過ぎている。

リュウは着替えを済ませて母屋に向かった。

「おはよう、リュウト。やっと起きたんだ。」

リビングではルリカがコーヒーを飲んでいた。

(あー…今日は月曜か…。店、休みだな。)

「おふくろは?」

「さっき出掛けた。朝御飯食べる?」

「ああ、頼むわ。」

ルリカに用意してもらった朝食を食べ終わり、リュウがタバコに火をつけると、ルリカはリュウのカップにコーヒーのおかわりを注いだ。

「あのさぁ…。ハルの事なんだけど…。」

「ハル…どうかしたのか?」

「もしかしてハル、この間リュウトのとこに行ってた?」

「ああ…来たけど…。姉貴になんも言わずに来てたのか…。」

ルリカはリュウの向かいに座り、コーヒーを一口飲んだ。

「帰りが遅いからメールしたら、随分経ってから友達のとこに泊まるって返信してきた。」

「え?あの日はもう遅かったし、オレも酒飲んでたから送れねぇし、オレんちに泊めたぞ?」

「アンタまさか、酔った勢いで…。」

ルリカは昔の激ヤン時代を彷彿とさせる鋭い眼でリュウをにらみつけた。

「えっ?!」

(ヤバイ…この目付きは…!!)

「ハルになんかしたんじゃねぇだろうな…。」

「してねぇ!!なんもしてねぇ!!だいたいハルは身内だし、まだ15じゃねぇか!!犯罪だろ!!」

リュウが必死で否定すると、ルリカは元の落ち着きを取り戻した。

「ホントに?」

「当たり前だ…。するわけねぇだろ…。」

(変な事はなんもしてねぇけど、一緒に寝たとは言いにくい…。)



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