幸せの定義──君と僕の宝物──
それぞれの幸せ
外が薄暗くなり始めた頃、リュウはそろそろハルが帰っているかも知れないと思い、母屋に向かった。

もう7時を過ぎているのに、ハルはまだ帰っていなかった。

(まぁ…高校生だしな…。友達との付き合いとか…いろいろあんだろ。)

学校帰りに友達とどこかで遊んでいるのかもと思いながら、ルリカに差し出されたビールを飲んだ。

「ハル、今日もなかなか帰って来ないね。今日はリュウトがいるよって、今朝言っといたのに…。先に晩御飯食べる?」

「いや…もう少し待ってみるかな…。」

リュウが実家に帰ってくると、いつもなら玄関で待ち構えるようにして出迎えるハルが、今日はなかなか帰って来ない。

(もしかしてオレ、ハルに避けられてる?やっぱ、この間の事が原因か?)




そのうち帰って来るだろうと待っていたリュウも、9時を過ぎるとさすがにハルの事が心配になり始めた。

「ハルから連絡ねぇのか?」

「こっちからはしてるんだけど、返事がないんだよね。友達の家にでも電話してみようか。」

ルリカはハルの仲の良い友人の家に電話をかけて、ハルはお邪魔していないかと尋ねた。

しばらく電話の相手と話した後、電話を切ったルリカがため息をついた。

「今日、学校終わってからハルと他の女の子と隣のクラスの男の子たちとカラオケに言ったって。それからファミレスに行く事になったんだけど、この子は塾に行く時間になって6時頃には別れて帰ったらしい。」


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