幸せの定義──君と僕の宝物──
その時、玄関のチャイムが鳴った。

ルリカがドアを開けると、そこには一緒に遊んだと言うもう一人の女の子がいた。

「あっ、ハルのママこんばんは。さっきファミレス出る時に、間違えてハルのスマホ、鞄に入れて持って帰っちゃったから届けに来たの。ハル、いる?」

「ハルまだ帰ってないんだけど…一緒だったんじゃないの?」

リュウも気になって、玄関のそばで話を聞いていた。

「え?ファミレス出たの、7時過ぎだよ。隣のクラスの男の子がハルと同じ方向だから送ってくって、ファミレスの前で別れたんだけど。」

(もしかして、今も男と一緒…?)

リュウの胸に、なんとも言い難い不快感が込み上げる。

「ありがとね。気を付けて帰るんだよ。」

ハルの友人が自転車で帰って行くと、ルリカはハルのスマホを握りしめてため息をついた。

「まったく、ハルのやつ…どこをほっつき歩いてんだか…。」

リュウは玄関で靴を履いて、外に出た。

「タバコ買ってくる。ついでにその辺探してみるわ。」

「うん、頼むわ。」

夜道を歩きながら、リュウは辺りを見回してハルの姿を探した。

(なんだよハルのやつ…。)

コンビニの前で話し込んでいるのかもと思い、コンビニに寄ったついでにタバコを買った。

(ここじゃねぇか…。)

リュウは少し遠回りをして、高校生くらいの若者がよくたむろしている公園に行ってみる事にした。

(男って…彼氏とか?)

歩きながら、リュウはとりとめもない事をぐるぐると考える。

(ハルも高校生だし…彼氏くらいいてもおかしくねぇだろう?そもそも、早く彼氏でも作れって言ったのはオレだし…。)

確かに自分でそう言ったはずなのに、もしハルが他の男と…と思うと、また妙な不快感に襲われた。

(なんだ?なんでオレ、こんな…。)




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