幸せの定義──君と僕の宝物──
「オレはハルの事、迷惑なんて思ってねぇし困ってねぇ。ハルが望むような関係にはなれねぇけどな…今は…。」

「今は…って…。」

ハルが驚いて、リュウの目をじっと見つめた。

「オレがつらい時はそばにいてくれんだろ?」

「そばにいてもいいの…?」

「ほっとくとまたわけのわからん男に引っ掛かりそうだしなぁ…。」

リュウは笑って、自分の座っている目の前の床を、ポンポンと叩いた。

「こっち来い、ハル。」

ハルが言われた通りリュウの目の前に座ると、リュウはそっとハルを抱きしめた。

「アイツになんもされなかったか?」

「うん…とーちゃんが来てくれたから。」

「なら良かった。あん時な…ハルが他の男といるの見たら無性に腹が立った。」

「ホント…?」

「なんだかなぁ…。自分でもわけわかんねぇんだけどな…。でも、ハルを他の男にとられたくねぇって思ったのだけは事実だ。」

「うん…。」

リュウはハルを抱きしめて優しく髪を撫でる。

「今はこうしてやるくらいしかできないけどな…大人になったら…オレんとこ来るか?」

「ホントにいいの…?」

「ハルを幸せにしてやれるの、オレしかいねぇもんな。」

「とーちゃんは…それで幸せ?」

ためらいがちに尋ねるハルに、リュウは優しい声で答える。

「ハルの思う幸せな願いを叶えてやるのも幸せかなーってさ。こんなオレの事、ずっと好きだって言ってくれんの、ハルだけだもんな…。それにハルといると、なんか落ち着く。」

リュウはハルの頬を両手で包んで笑った。


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