幸せの定義──君と僕の宝物──
ユウの作った夕飯は、妊婦のレナのために薄味でも飽きが来ないように、出汁や酢などを上手に使って、素材の味をしっかりと味わえるような、体に優しい料理ばかりだった。

「美味しい!!ユウ、いつの間にこんな料理覚えたの?」

「レナがおふくろからもらった妊婦向けの料理本に載ってたのをアレンジしてみた。」

レナは驚いて目を丸くした。

「すごいね…。私なんか、本に載ってる通りしか作らなかったのに…。私よりユウの方がずっと料理上手だね…。」

「レナは真面目だからな。オレは逆に、書いてある通りの分量きっちり量って作るのができない。ざっくり目分量で大雑把なんだ。」

ユウは笑いながらレナのために根菜のサラダを取り分けた。

「男女の特性の違い…?性格の問題…?もしかして私とユウ、正反対…?」

「レナは理系、オレは文系。」

「あれ…?でも高校の時、私たち同じ理系クラスだったよね?」

学生時代を思い出して首をかしげるレナに、ユウは少し照れ臭そうに笑った。

「あれは…レナと一緒のクラスになりたかったから理系を選んだんだよ。その分、密かに必死で勉強してた。レナ、いつも成績トップだし…レナに負けたくなかったから。」

「そうだったの?知らなかった…。」

高校を卒業してから13年も経って初めて知る事実に、レナは驚いている。

「まぁ…今はどう頑張ってもレナには敵わないんだけどな。」

「何が?」

「オレはずっと、レナのかわいさにやられっぱなしだ。それに、オレには絶対できない事、レナは頑張ってくれるんだもんな。」

「なんの事…?」

「オレとレナの子供を産めるのは、レナだけだから。」




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