幸せの定義──君と僕の宝物──
「メグミはオレの3つ下だから、片桐さんよりひとつ歳上かな。歳も近いし、仲良くしてやってね。」

ハヤテはそう言ってから、遠慮がちにリュウのそばでかしこまっているハルに気付いた。

「ハルちゃんだよね。はじめまして、ハヤテです。それからうちの奥さんのメグミです。」

「タクミでーす。よろしくハルちゃん!」

「は、はじめまして、宮原 波琉です。」

緊張の面持ちで慌てて頭を下げるハルを見て、ハヤテはにっこりと笑った。

「そんなに緊張しないでいいよ。ゆっくりしていってね。」

「ハル、久し振りだなぁ。元気だったか?」

「あっ、トモちゃん!久し振り。元気だよ。」

昔から知っているトモの顔を見て少しホッとしたのか、ようやくハルが笑った。

トモは、リュウが手土産のフルーツケーキをメグミに渡しに行った隙に、ハルに耳打ちする。

「ハルの長年の夢が叶いそうなんだって?」

「ハルが大人になったらだって…。トモちゃんは何歳からが大人だと思う?やっぱりハタチかなぁ?」

ハルに尋ねられ、トモは自分のハタチの頃を思い出す。

ちょうどハタチの頃、初めて本気で、アユミに恋をしていた。

「ハタチか…。オレのハタチの頃なんて、中身は全然大人でもなかったな。まぁ今でもちゃんと大人になれてるかって言われたら自信ねぇけど。年齢より中身が問題なんじゃね?」

トモが答えると、ハルはため息をついた。

「それじゃいつになるかわかんないよ。ハル、早く大人になりたいの。」

「なんでそんなに早く大人になりたいんだ?」

「だって…早くとーちゃんとずっと一緒にいられるようになりたいし…。それに…。」

ハルは急に恥ずかしそうに口をつぐんだ。


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