幸せの定義──君と僕の宝物──
「あ、戻ってきた。」

部屋に戻って来ると、タクミの予想通りユウはレナの隣に座り、トモは反対側のレナの隣に座った。

リュウは自分の座っていたハルの隣が空いていない事を怪訝に思いながら、トモの隣に座る。

タクミはリュウに気付かれないようにニヤリと笑いながらハルの耳元で話し掛けた。

「こっち来て、リュウにどこか連れてってもらった?」

ハルが首を横に振る。

「とーちゃんずっと仕事だったから…。」

リュウはタクミがやけにハルとの距離を詰めているのを見て、イライラしている。

(タクミのやつ…なんで急にハルの隣にいるんだ?…ってか近過ぎんだろ!!離れろ!!)

リュウがイライラしている事に気付かないふりで、タクミは相変わらず近い距離でハルに話を続ける。

「もうすぐね、花火大会があるの。人が少なくて花火がキレイに見える穴場スポットがあるんだ。SNSのトークとかやってる?」

「うん。」

「じゃあ、ID交換しようよ。詳しい場所とか日時とか送ってあげる。」

タクミとハルはスマホを出してIDを交換した。

ハルが急にタクミと連絡先の交換をし始めたのを見て、リュウは更にイライラして眉間にシワを寄せた。

(バカ!!なんで他の男に簡単に連絡先なんか教えんだよ!!)

タクミがハルにメッセージを送り、ハルがそれを確認すると、タクミが更にハルにくっつくようにして小声で耳打ちする。

「リュウ、その日の晩はスケジュール空いてるから、連れてってもらいなよ。」

「うん、ありがとう。」

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