幸せの定義──君と僕の宝物──
「だってさ、ハルちゃん。」

笑いながらタクミがそう言うと、リュウは一瞬驚いてハルの顔を見た。

「なんだそれ…?」

「タクミさんに花火大会の日にちとか時間とか場所とか教えてもらったの。とーちゃんに連れてってもらったらって。」

「えっ?!」

「リュウ、意外とヤキモチ妬きなんだなぁ。」

タクミに冷やかされ、リュウはハルから手を離すと、真っ赤になって頭を抱えた。

「とーちゃん、大丈夫…?」

「ほっといてくれ、ハル…。いい歳してこんな…オレもう立ち直れねぇ…。」

トモが笑って、ガックリとうなだれるリュウの肩を叩いた。

「そんな落ち込むなよ。そういう熱いリュウ、オレはすっげぇいいと思うぞ。」

「良くねぇよ…カッコわりぃ…。」

しばらく経つと、みんなは何事もなかったかのように、元のように談笑し始めた。

ハルはまだ落ち込んでいるリュウの手をそっと握り、みんなにはわからないように、リュウの耳元でそっと囁いた。

「とーちゃん、ハル嬉しかったよ。すごくカッコ良かった。ありがと。大好き。」

嬉しそうに笑うハルの顔を見て、リュウは苦笑いをしながらハルの手を握り返した。

(あんなオレがカッコいいとか…大好きとか…敵わねぇなぁ…ハルには…。)






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