幸せの定義──君と僕の宝物──
「いつまでも子供扱いしないで…。子供のハルが好きになれないなら、とーちゃんがハルを大人にしてよ…。」

「ハル…。」

胸に顔をうずめて体にしがみつく裸のハルを、リュウはためらいがちにそっと抱きしめた。

「今は…子供なんて思ってねぇ…。」

「そんなの嘘…まだハルは15だからって…一緒にいてもキスもしてくれない…。ハルは…もっと、とーちゃんに触れて欲しいのに…。」

ハルの切なそうな声に、リュウの鼓動が速くなった。

抱きしめたハルの濡れた髪から、ポタリと滴が落ちる。

「嘘じゃねぇ…。子供じゃねぇから必死で抑えてんだよ。途中でハルがいやがっても、やめてやる自信ねぇから。」

「いやがらないよ…。ハル、とーちゃんが好きだもん…。とーちゃんは…ハルの事、好きじゃない?」

「バカ…好きじゃなかったら、つまんねぇ事で嫉妬したりしねぇし…大人になるまで待つとか言わねぇだろ?ホントはオレだって、ハルが思ってるほど大人でもねぇし、余裕もねぇ。」

「やっぱり大人はズルイな…。ちゃんと言ってくれないんだもん…。」

ハルが顔を上げて、リュウの目をジッと見つめた。

ハルのお風呂上がりの上気した肌や濡れた髪、切なげに潤んだ瞳が、リュウの欲情をかきたて鼓動を速くした。

(ああもう…ズルイのはどっちだよ…。またそういう顔を…。)

リュウは両手でハルの頬を包み、親指でそっとハルの唇をなぞって、頬に口付けた。

「ハル…。」

抱きしめて耳元で囁くように名前を呼ぶリュウの低く優しい声が、ハルの耳を通り抜け、体の奥の深いところを甘く刺激する。

「それだけじゃやだ…。」

「ダメだって…。」



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