幸せの定義──君と僕の宝物──
レナはユウの出演する歌番組を見ていると、ユウにチラチラ視線を送るアイドルの女の子の姿を目にして、少し複雑な気分になる事がある。

ユウを信じていないわけではないが、とにかくユウは女の子にモテる。

ユウ本人には、あまり自覚はないのかも知れない。

(また週刊誌に載って騒動…とか…さすがにもうないよね?)

レナは、ユウと付き合い始めて半年が経った頃に起こった騒動を思い出して眉を寄せた。

週刊誌に熱愛報道を載せられ、ユウの女性遍歴やレナの過去、レナと俳優との熱愛報道の捏造など、事実に多くの脚色を加えた記事を、ある事ない事、面白おかしく書かれた挙げ句、世間の好奇の目に晒されバッシングを受けた。

その時ユウは、過去に自分がしてきた身勝手な行動のせいでレナをつらいめに合わせてしまった事で自責の念にとらわれ、塞ぎこんでレナがそばに居る事さえ拒んだ。

レナと俳優との熱愛報道が捏造され週刊誌に掲載された時、ユウはレナを信じる事ができず、ひどく傷付けて別れ話を切り出し、誰よりも大切なはずのレナを突き放した。

結局、一連の騒動は、ユウがかつて関係を持った事のあるグラドルの企てた事だった。

(もうないとは思うけど…あんな思いはもうたくさんだよ…。)



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