幸せの定義──君と僕の宝物──
「じゃあ…ハル、これがいい。」

ハルはショーケースの中のペアリングを指さした。

「え?ペアリング?!」

「ハルはとーちゃんとお揃いがいい。」

「マジか…。」

店員がショーケースの中から取り出したペアリングをトレイに乗せて差し出すと、ハルは目をキラキラさせた。

「ハル…もっとこう…きれいな石の入ったやつとか…デザインのかわいいやつとか…好きなの選んでいいんだぞ?」

ハルは首を横に振り、男物の指輪を手に取ってリュウに差し出した。

「ハルはこれがいいの。あと何年かは離ればなれだし…一緒にいられない時もハルの事忘れないように、とーちゃんにもお揃いの指輪つけてて欲しいの。」

(バーカ…。忘れねぇっつーの…。それはオレが思ってた事だろ…。)

「それにしても…もっとよく選ばなくていいのか?」

リュウがそう言うと、店員は隣のショーケースを手で示して、ハルに微笑みかけた。

「ペアリングでしたら、あちらにお若い方に人気のデザインの物もございますよ。ご覧になりますか?」

「ハイ!!」

嬉しそうにショーケースを覗き込むハルを見ながら、リュウはやれやれと苦笑いした。

「ハルちゃんはホントにリュウが好きなんだなぁ…。リュウがハルちゃんかわいくて仕方ないって気持ち、わかるわぁ。」

ユウに図星をさされ、リュウはバツの悪そうな顔をしてそっぽを向いた。

「なんだよユウ…。オレがいつそんな事言ったんだよ…。恥ずかしい事ばっか言うな。」

「ホント素直じゃないな。せめてハルちゃんにだけは、もう少し素直に気持ち伝えたら?」

「……努力はする…。」




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