幸せの定義──君と僕の宝物──
トモはまだヒロに報告していなかった事を思い出し、おそるおそる手を挙げた。

「オレです…。」

思わぬトモの自主申告に、ヒロは驚いて目を丸くしている。

「は…?なんでトモに子供がいんだよ。」

「昔付き合ってた子が、オレと別れた後にオレに黙って一人で子供産んでました…。この間それがわかって…子供の学校の事とか…タイミングを見て彼女と一緒になるつもりです…。」

トモのまさかの子持ち発言に、ヒロは思わず大声をあげた。

「はあぁっ?!子供の学校の事とかって…オマエの子供、一体いくつだ?!」

「…12歳で、6年生です。」

「でけぇな、オイ!!いきなり思春期の子供の父親になんて、オマエなれんのか?」

「あ、その辺は大丈夫です。」

「大丈夫なのかよ…。」

珍しく激しく動揺しているヒロを見て、タクミは楽しそうに笑いをかみ殺している。

「まさか…。」

ヒロはまだ動揺のおさまりきらない様子で、チラリとリュウを見た。

「リュウ…オマエもか?」

「ハイ?!なんでオレなんすか?!」

突然子持ち疑惑をかけられたリュウは、目一杯驚いた顔をした。

「オマエがいやに穏やかな顔してるからだよ!すっかりトゲがなくなって丸くなってんじゃねぇか!!オマエも子供がいんのか?!」

「えぇっ…?!ヒロさん、それは言いがかりってやつでしょう?!」

ヒロの暴走にリュウが困った顔をしていると、タクミはまた楽しそうに笑った。

「ヒロさん、リュウは違いますよ。とっても若くてかわいい婚約者ができたんだよねー、リュウ。」

「タクミ…余計な事言うな…。」

あっけらかんとハルの存在をヒロにバラされ、リュウは右手で顔を覆ってため息をついた。



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