幸せの定義──君と僕の宝物──
思えばいろんな事があったなと、ユウとの間に起こった出来事を振り返っていると、無意識のうちに涙が溢れていた。

(え…私、なんで泣いてるの?)

レナは慌てて涙を拭う。

やがて歌番組も終わり、レナは枕元に置いていたリモコンでテレビを消した。

(なんだろう…。やけにセンチメンタルと言うか…。過去を振り返ったりなんかして…。)

つわりの時には、情緒が不安定になり毎日のように泣いたり怒ったりしていたけれど、それとはまた違う感覚だった。

(妊婦って…自分自身の感情の波に翻弄されて大変なんだな…。)

ただでさえ、元々感情表現が苦手だったレナにとっては、しんどい事かも知れない。

ユウが何も言わずに突然姿を消して離ればなれになっていた10年間は、うまく笑うこともできなかった。

それを思えば、たとえ感情の波に翻弄されていたとしても、大好きなユウがそばにいる今はとても幸せだとレナは思った。



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