幸せの定義──君と僕の宝物──
ユウが約束の時間より30分早く到着すると、レナはユヅルにミルクを飲ませていた。

「授乳中?」

「あ、ユウ。」

まだ出産後間もないので母乳が足りず、足りない分はミルクで補う。

出産後すぐから母乳がたくさん出る人もいるがレナはそのタイプではなく、なかなか思うように母乳が出ないようだ。

「早く母乳だけで足りるようになるといいんだけどな。」

ユウは、少し落ち込んだ様子でユヅルにミルクを飲ませているレナの頭を優しく撫でた。

「焦らなくてもいいよ。この先長いし。」

「ずっとこのままあまり出なかったらどうしようとか考えちゃって…。」

「ユヅルもまだ生まれたところだからな。そのうちなんとかなるだろ。それに、母乳出なかったらミルクあげればいいじゃん。」

「でもやっぱり…。」

「なんでも難しく考えるの、レナの悪いくせだよ。気楽にやろ。ユヅルのためにも、レナが元気なのが一番なんだから。それにミルクならオレもユヅルに飲ませる事ができる。」

ユウの言葉に、レナはホッとして微笑んだ。

「そっか…そうだね。ユウと一緒にユヅルを育てるんだもんね。」

「そうだよ。レナが独り占めなんてズルイもんな。オレだってユヅルの世話したいよ。」

すっかり子煩悩なユウの父親ぶりを見て、レナは嬉しそうに笑った。

「ユウは頼もしいパパだね。」

「レナには負けたくないからな。」


< 222 / 241 >

この作品をシェア

pagetop