幸せの定義──君と僕の宝物──
「でも叔父と姪だと結婚できないでしょ?」

「リュウとハルの母親のルリカさん、血の繋がらない姉弟なんだって。だから結婚はできるらしいよ。」

「そう…宮原くん、ハルちゃんと…。」

トモはスプーンを運ぶ手を止めて、アユミの様子を窺った。

「……複雑?」

「え?」

「リュウが結婚するの。」

「そんな事ないよ。二人で幸せになって欲しいなって思ってる。」

リュウはアユミの中ではもう完全に過去の人なのだろうか。

思ったよりもずっとあっさりしているなとトモは思う。

「アユちゃんは…オレと幸せになろう?もちろんマサキも一緒に。」

「うん、もちろん。」

笑ってうなずくアユミに、トモは心底ホッとした。

「オレ、早く一緒に暮らしたい。」

「私もマサキもそう思ってるよ。」

トモは、この際だからずっとハッキリとは口に出せなかった言葉を今言おうと覚悟を決めた。

「マサキにも聞かないとって思ってたんだけど…アユちゃん…オレと…結婚してくれる…?」

「……。」

何も言わないアユミに不安になったトモは、慌てて言葉を並べる。

「もちろん今すぐにとは言わないよ。年度が変わる頃なら、マサキが中学に上がるのに合わせてとか…アユちゃんの仕事の都合も大丈夫かなって、ずっと思ってた。」

「私一人の事じゃないし、急には決められないから…少し、考えさせて。」

「うん…わかった。」



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