幸せの定義──君と僕の宝物──
1週間後。

スタジオに集まった`ALISON´のメンバーは、ハヤテの作ってきた新曲に聴き入っていた。

優しく包み込むようなメロディーは、心の中を温かくした。

「いい曲だな。なんかすっげぇ感動した。」

「その一言でトモのボキャブラリーの少なさが窺えるな…。」

「率直な感想だろ。」

リュウとトモが小突き合いを始める横で、タクミはどこか幸せそうなハヤテの様子を窺った。

「ハヤテ、いつもに増して幸せそうだね。」

「ああ…うん。実はうちも、来年の春に子供が生まれるんだ。」

「えっ?!そうなのか!!おめでとう!!」

「良かったな、ハヤテ!!」

みんなに祝福されて、ハヤテは嬉しそうに笑って頭を下げた。

「ありがとう。これからが大変だけどな。」

「わからない事があったらなんでも聞いてくれよ。」

得意気なユウに、ハヤテがうなずく。

「頼りにしてる。ユウは奥さんの妊娠中から今に至るまで、ホントによくやってるもんな。」

「いいなー…。オレもマサキの生まれるとことか赤ちゃんの時とか見たかった。」

「次の子の時に頑張れよ。」

ユウに肩を叩かれて、トモは宙を仰ぎ見た。

「次の子…かぁ…。」

「でもまだ次の子は難しいか?まずは結婚してからだよな。」

ユウの言葉に、トモは少し照れ臭そうに笑う。


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