幸せの定義──君と僕の宝物──
「実は…来年の春に結婚する事になった。」

「マジか!!良かったじゃん!!」

「うん。マサキの中学進学に合わせてな。彼女の仕事の方も、年度が変わる頃なら切りが良くて都合がいいし。」

「そっか、小学校の先生なんだよな。」

「春になったら、やっと一緒に暮らせるよ。」

嬉しそうなトモの顔を、リュウは穏やかに笑って見ていた。

(良かった…。トモとアユミ、やっと一緒になれんだな…。)

そう言えばトモと話してから、アユミの事を考えて胸を痛める事はなくなった。

トモがアユミへの想いを断ち切ってくれたおかげなのか、それともハルのおかげなのか。

どちらにしても、今、リュウの心はとても穏やかである事には違いない。

「リュウは…来年の春はまだ結婚できないな。少なくともハルが高校卒業するまでは無理なんだろ?」

トモの問い掛けに、リュウはハルとお揃いの指輪を見つめて穏やかに笑った。

「オレは気長に待つさ。」

ずっと黙ってみんなの話を聞いていたタクミがハヤテの方を見て手を挙げた。

「オレ、その曲の歌詞、書いてもいい?」

「ああ、うん。何か降りてきた?」

「ものすごく書きたくなった。」

「じゃあ、任せるよ。」



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