幸せの定義──君と僕の宝物──
数日後。

タクミは`ALISON´のメンバーに、ハヤテの曲に乗せた歌詞をメールで送った。


本気の恋に胸を焦がした遠い日。

愛する人を傷付けてしまった苦い想い。

なくした恋を悔やみながら、もう一度会いたいと願い続けた日々。

再び出会えた愛する人を、今度こそ幸せにしたいと言う強い想い。

二人の大切なものを、一緒に守り続ける覚悟。

そして、愛する事を教えてくれた大切な人を信じて待つ事。


ハヤテ、リュウ、トモ、ユウ、それぞれに若かった日の苦い恋がある。

別れてからもずっと想い続けた人と再会して結ばれたり、昔とは違う自分達を取り巻く環境に戸惑いながらも、葛藤を乗り越えて新しい未来へと踏み出そうとしている。

まっすぐな恋愛ができない自分には、一生味わう事はないかも知れない。

いつか自分にも、本気で愛せる人との出会いがあれば変われるかも知れない、とも思う。

心のどこかでは、そんな日が来るのをずっと待ち続けているのかも知れない。

だけど今の自分には、誰かを一生愛し続ける自信も、愛し続けてもらえる自信もない。

だからせめて、大切な人たちが幸せになる姿を見守りたい。

みんなが愛する人と幸せそうに笑っていてくれたら、きっと自分も幸せを感じて生きて行けると、タクミは思った。




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