幸せの定義──君と僕の宝物──
「そんな事言ってたんだ…。あれはオレが弱かっただけで…全然おふくろのせいじゃないのにな…。」

「母親だからでしょ。血は繋がってなくても、直子さんはちゃんとユウの本当の母親なんだって事だと思う。どんなに愛情注いで頑張って育ててきても、もっとああしてあげれば良かったとか、こうしてあげたかったとか…自分の子育てに満点をつける事はないんだと思うよ。」

穏やかに笑みを浮かべながら話すレナの表情に、いつもとはまた違う優しさと温かさを感じて、ユウはじっとレナの顔を見つめた。

(今日のレナ、いつもと違うような…。なんか…すごくキレイだ…。)

「レナ…母親目線になった?」

ユウが母親の顔を覗き込む子供のように、レナの目を見つめて尋ねた。

レナは小さく首をかしげ、右手を伸ばしてユウの頬を撫でる。

「そうかな…。確かにあの時は、こんな事まで考えなかったかも。」

「レナもだんだん母親になってくんだな…。」

ユウは頬に触れるレナの手を握って笑う。

「でもさ…レナはオレの世界一かわいい奥さんだから。子供に対してはママとかお母さんって言っても、これからもオレはずっとレナって呼ぶよ。だからレナもオレの事、今と同じようにユウって呼んで。」

「ユウは小さい頃から特別で…今は私の大切な旦那様だもんね。」

ユウはレナの手を両手で握ってうなずいた。

「これからも、ずっと一緒だから。」





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