幸せの定義──君と僕の宝物──
ユウは苦々しい顔でタバコの煙を吐き出して、レナとの過去を話し始めた。


物心がつく前からの幼なじみだったレナをずっと好きだったのに、長い間その想いを伝えられないまま片想いをしていた事。

高3の春、もしかしたらレナも自分を特別だと思ってくれているかもと思っていたのに、レナが他の女の子からのラブレターを届けに来た時、レナにとっては自分がただの幼なじみでしかないのが悔しくて、大切にしていたレナを乱暴に押し倒し無理やりキスをした事。

力ずくで自分のものにしようとして拒まれ“こんなの私の知ってるユウじゃない”と、レナを泣かせて傷つけてしまった事。

それからレナを避け、ラブレターをレナに預けた女の子と付き合いながら、他の何人もの女の子とも関係を持った事。

レナを傷付けた罪悪感に耐えきれなくなり、どんなに想っても届かないレナをあきらめるために、レナにも仲の良かった友人たちにも、誰にも行き先を告げず、ヒロについてロンドンに渡った事…。


「ロンドンに行ってもさ…レナを忘れるためにいろんな女の子とやって…。それなのに、全然忘れられなくてさ…。それどころか、どんどんレナの存在がでかくなって…。もうあきらめるしかないってわかってたのに、他の女の子とすると、夢にレナが出てくんだよ。」

「夢に…?」

「うん…。オレがレナを避け始めた時みたいに悲しそうな顔してさ…。そんで、無理やりレナを押し倒した時の顔で、泣いてた。いつの間にか…夢の中でも…泣いててもいいから、レナに会いたいって思うようになってさ…。それからはもう、相手なんて誰でも良かったんだ。レナの夢を見せてくれたら、それだけで…。」

「そっか…。そんな事があったんだな。だからユウ、あんなだったんだ。」


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