幸せの定義──君と僕の宝物──
子供って妊娠がわかってからどれくらいで生まれるんだっけとか、もし自分の子ならどうすればいいんだろうとリュウが思っていると、ユキが真剣な面持ちで口を開いた。

「その子…中学時代のトモに激似だった。」

(やっぱそっちかー!!)

リュウは頭を抱えて、複雑な気持ちで目を閉じた。

「ちょっと待てよ。ユキ、それって…。」

アキラが混乱した頭をなんとか整理しようと、詳しい説明をユキに求めた。

「私もハッキリとは聞いてないよ。ただ、ホントに似てたってだけ。」

(あー…こりゃ確定だな…。)




随分夜も更けた頃、リュウがアキラとユキと別れて実家に帰り、庭の離れにある自分の部屋に入ると、姪の波琉がものすごい勢いでリュウに飛び付いた。

「おかえりーっ!やっと帰ってきた!!」

「いってぇな、オマエは…。」

ハルは嬉しそうにしっかりリュウの体に抱きついている。

「もう!遅いよ、とーちゃん!!」

「待っててくれなんて言ってねぇだろ?」

ハルは抱きついたままで、リュウの顔を見上げた。

「ひど…!ずっと待ってたのに…。かわいいハルにただいまのちゅーは?」

「だから、するわけねぇだろ!!」

(あーもう…。しかしコイツ、ガキの頃から全然ブレねぇな…。)

ハルは小さい頃からリュウの事を、リュウの本名・琉斗(リュウト)の“ト”だけを取って、“とーちゃん”と呼んでいる。

とにかくリュウの事が大好きで、“ハルが大人になったら絶対結婚しようね!!”と、いつも言っていた。

高校1年生になった今も、その愛は変わらないらしい。


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