幸せの定義──君と僕の宝物──
「もう遅いだろ。ガキは早く寝ろ。」

「ガキじゃないもん!!ハル、今年の冬で16になるんだよ!!とーちゃんと結婚だってできるんだから!!」

(また始まった…。)

リュウと姉のルリカは血が繋がっていないので、その娘のハルとは結婚できるらしい。

大きくなったら18も歳の離れた叔父の事など見向きもしなくなるのだろうとリュウは思っていた。

(かわいい嫁って…だんだん冗談じゃ済まなくなってきた…。)

リュウにとってハルはかわいい姪ではあるが、どう考えても嫁と言うより娘のようだ。

「とーちゃん、一緒に寝よ。」

「はぁ?バカか、オマエは…。早く自分の部屋に戻って寝ろ。」

「バカじゃないもん!!」

「あーもう…わかったから…。また明日遊んでやるから、今日はとにかくもう寝ろ。」

「ホントに?絶対だよ!!おやすみ!」

リュウは適当にハルをあしらい、部屋から追い出した。

(はぁ…余計に疲れた…。)



部屋着に着替えてタバコに火をつけ、リュウはさっきユキが言っていた事を考える。

(ユキの言ってた事がホントだとすると、おそらくその子はトモの子だよな…。)

時期的にも、トモに激似だと言う事も、どう考えてもそれしか有り得ない。

だけど彼女は、その事実をトモにもリュウにも知らせなかった。

おそらく、妊娠がわかった時に、トモとリュウのどちらの子かわからなかったからそうしたのだろう。

(実際に会って確かめるとか…できねぇかな…?でも…向こうは今更って思うのかも…。)

突然降って湧いたような衝撃的な話に、リュウはまとまらない思考を巡らせる。

今すぐトモに知らせるべきなのか、きちんと事実を知った上でそうするべきなのか。

(トモは…なんて言うんだろう…。)



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