幸せの定義──君と僕の宝物──
結局リュウは、ハルが目覚めるまでずっとそうしていた。

昼近くに目覚めたハルと一緒に母屋で食事をしてから、少しの間ハルをドライブに連れて行った。

昨日ユキから聞いた話では、彼女の家はリュウの実家からそう遠くもなく、車で20分ほどのところに住んでいるらしい。

彼女の家の近所まで来たものの、急に訪ねるわけにもいかず、彼女の子供が本当にトモの子供なのかを確かめる事もできない。

(どうするべきかな…。)

悩んだ末、リュウはその近くのハンバーガーショップのドライブスルーで飲み物を買って、ハルと車の中でそれを飲みながら実家に戻った。



実家に戻ったリュウは、母屋でサツキとルリカとハルと一緒にお茶を飲んだ後、夜からの仕事のために早めに東京に戻ろうとした。

今日は夜にラジオ番組の生放送にゲスト出演する事になっている。

「じゃあ、オレ行くわ。」

荷物を持ってリュウが立ち上がると、ハルも一緒に立ち上がった。

「そこまで一緒に行く。」

サツキとルリカは、相変わらずリュウにベッタリのハルを見て笑い、その場でリュウを見送った。


「ねぇとーちゃん、次はいつ帰ってくるの?」

リュウが玄関で靴を履いていると、ハルが背中越しに尋ねた。

「さあなぁ…。また時間ができたらな。」

「忙しいんだね。」

「まぁな。暇だと困るだろ?」

「そうだけど…。ハル、とーちゃんに会えないの、寂しい。」

ハルはいつもより少し小さな声で、寂しそうに呟いた。


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